400番リクエストさせていただきました♪



「おはよう、粋珠ちゃん」

まだ粋珠が寝ていることを知りながらも、母の美寿は挨拶を告げる。

そして、何処に居るのかは見えないが一応四神らにも挨拶。

父の晃も寝ている粋珠の傍らに立ち、その寝顔を見ている。

「ごめんね、母上と父上は旅に出ます。ちゃんと帰ってくるから、待っててね」

「ちゃんとお土産も買ってきてやるからな、お利口にして待ってるんだぞ」

寝ている我が子の額に唇を当て、その場を去る両親。

退室する際に、一度こちらに向き直して一礼すると、荷物を持って出て行った。

それが、粋珠が始めて1人で迎えた記念日だった。



その状況を見て、四神たち一同は愕然としていた。今のは・・何だ・・?

人型化をしてその場に顕現した四神たち。家を出る際に美寿が言った言葉に一同は動揺を隠せずに居た。

今日中には戻ってきますから、粋珠を宜しくお願いします―――。

そして、慌しくも四神会議の幕開け。お題は今日一日をどのように過ごすか。

「あそこまで酷い親だったなんて知らなかった!!

まったく・・何考えてんのよあの人達は!粋珠を悲しませたらこの家ごと燃やしてやるから!」

「静かにせぬか、粋珠が起きるだろう」

「そうそう。それに、粋珠のご両親燃やしちゃったら粋珠がずっと独りぼっちになっちゃうよ?

 それに朱夏の大好きな粋珠に、口利いてもらえなくなるかもね。」

青龍――・・犀は、成人サイズの人型を取り、粋珠の眠るベットに腰を掛ける。

「・・っ。でも、でも!折角の記念日を一人で迎えさせてあげることは無いと思う!」

「まぁ、それもそうだけど。今日は俺たちがどれだけ粋珠に寂しさを

 感じさせずに居られるかどうか、ここが重要なんでしょ?」

「左様。先程から言っておるが・・もう少し静かに出来ぬのか、朱夏。

 それから犀、まだ寝ているあの寝惚け虎を起こしてこい」

「ん、了解ー」

犀は瞬時にその場から姿を消し、未だ眠っている白虎、刹の元へと向かった。

「ちょっと!何であたしだけ怒られなきゃなんないのっ!?」

「お主が一番騒いで居るからに決まっておろう」

「どうせ怒るなら粋珠の親を怒りなさいよ!もう、腹が立って腹が立って・・!」

すると、粋珠が朱夏の言葉に反応したかのように寝返りを打った。

突然過ぎて咄嗟に口を抑えた朱夏。そして、疲労の溜息を吐く暁。

ただ、2人の反応で共通するのは咄嗟に後ろを振り向いてしまったことだった。

「ははうえ・・ちちうえ・・?」

「粋珠ってば、寝言だの寝返りだの驚かさない・・――っ!?」

ただの寝言だと判断し、振り返った矢先に二人が目撃したものとは。

それは、起きあがって目を擦っている粋珠の姿。

寝返りに付け加え、更に驚かされた2人は一瞬息を呑んだ。

「あれ・・しゅかと・・あかつき・・?」

「お・・おはよう、粋珠・・っ」

「ねぇ、ははうえとちちうえは・・?」

「ご両親だが・・少し、買い物に出るそうだ」

起きてすぐ、この寂しい現状を伝える必要は無いだろうと思い咄嗟の嘘をつく。

許せ、粋珠と心の中で密かに思いながら。

「そっかぁ。ね、いまなんじ?あさごはん・・」

ぐきゅう、と小さな音を立てる粋珠の腹に、少し笑みを零してしまう二人。

「今は・・9時半だ、何が食べたい?」

「えっと・・だいじょうぶ、すいじゅがつくる」

よいしょ、とベットから下りた小さな少女はそのままキッチンへと歩いて行った。

「5歳の作る朝ご飯は無事に完成するのだろうか・・?」

「大丈夫!粋珠を信じなさい!」

自信満々に急いで粋珠を追いかける朱夏の姿を見て、暁は1人小さく溜息を零しながら後を追った。

粋珠が言っていた“朝ご飯”とは、ただパンを焼いてジャムを塗っただけのものだったようで。

無事心配事も消え、少しばかり2人もそのパンをご馳走になった。

そして、室内でのんびりと過ごしていた頃。あの慌しい声が、どこからか聞こえてきた。

「すーいーじゅー!!」

「せつ!」

白い布の両端を片方ずつ犀と刹が持ち、沢山の木苺の雨を降らす。

すごーい!と驚きと喜びの表情で掌に浮かぶ木苺を見つめる粋珠。

「これ、俺らからのプレゼントっ。気に入ってもらえた?」

「うんっ、せいとせつありがとうっ!」

一つずつ、手渡しで四神にも木苺を渡していく。

満面の笑みを浮かべて、嬉しそうに食べる粋珠に気付かれないように朱夏は刹へと話しかけた。

「やるじゃない、あんたたち」

少し悔しそうな顔をしながら、木苺を食べる朱夏。人型サイズだと、これが結構の量になりその上一口が小さい。

なので、余計に満腹感を味わうことになってしまう。・・これが、本来の姿ならば人噛みもせずに食べるのだが。

「へへん、俺の案だもんね」


朱夏の悔しそうな顔を見て、刹は自慢げに腕を組み、胸を張る。 

「刹ってば、寝惚けてたんじゃなくてこれ用意してたらしいよ?なんでも、一人で持てなかったから来れなかったとか」 

「そうそう、ごめんなー」 

犀の発言に、それを言うなよというような表情をし、暁に向けての発言に申し訳なさそうな表情をする刹。 

この中では朱夏と刹が一番よく表情が変わると言われているのがよく判りそうな反応だ。 

「まぁいい、粋珠が喜んでいるのだから許してやろう」 

許しを貰えた刹は嬉しそうに小さくガッツポーズをして粋珠の元へ向かう。 

「さて、これからどうする予定?」 

「そうねぇ・・じゃあ、次はあたしがいく。」 

「何?」 

「プレゼントよ、プレゼント。どうせなら、暁も一緒にする?」 

「朱夏がいいならば、そうさせてもらおう。あやつらも2人組みでやったのだからな」 

「そうなれば話が早いわ。犀、刹と一緒に外に出て粋珠と遊んできて」 

「また俺・・!?ったく、仕方ないなぁ」 

何で俺って待機班とか、外に出る用事ばっかりなんだ・・? 

そう思いつつも、犀は刹と粋珠に話しかけて外に出た。勿論、朱夏と暁の件は伏せて。 

「それで、結局プレゼントとは何をするんだ・・?」 

「いい考えがあるの。悪いんだけど、暁は今から言うものを準備してくれる?」 

そして、朱夏に告げられた物を面倒臭そうな顔をして用意に向かう暁。 

「さてと、ここからが本番っ。刹たちより喜ばせなきゃ、ね」 

朱夏は、意気揚揚に準備に取りかかり始めた。 


××× 


一方、犀と刹と遊んでいた粋珠は、あまりの陽の暖かさに眠ってしまっていた。 

「あーあ、どうすんの?俺じゃ粋珠は運べないし・・」 

犀とは違って、成人サイズになれない刹は困った表情を浮かべる。 

「勿論、判ってるよ。俺が運ぶ」 

手のひらサイズから、成人サイズへ姿を変えた犀は、粋珠を抱き上げた。 

「それじゃ、帰ろっか。もしかしたら少し早いかもしれないけど、姫寝てるし大丈夫でしょ」 

刹を肩に乗せ、傍から見れば年齢の大きく違う兄妹のよう。普通の人には、刹は見えないので問題外。 

「朱夏たちが用意してるプレゼントって一体何なんだろうなー・・」 


××× 


「ただいまー」 

「粋珠っ、おかえりなさいっ」 

帰り道の途中で目が醒めてしまった粋珠は、少し眠そうにしていたが、それは一気に喜びの表情へと変わった。 

色とりどりの装飾と美味しそうな料理が並ぶテーブル。ゆっくりと犀に降ろしてもらった粋珠は、走って椅子に座る。 

「これってぜんぶしゅかとあかつきがやったの?」 

目を輝かせて、料理や室内を見渡す粋珠の様子に、すごく嬉しそうな朱夏。 

「あぁ。・・と、言ってもほとんど朱夏がやったんだがな」 

「すごーい、いろんなことができるんだね!ねぇ、さめないうちににみんなでたべよう?」 

「おう、じゃあいただきまーす!」 

あまりの美味しそうな料理に、今にでも涎が出そうな刹は嬉しそうに急いで席に付く。 

朱夏も粋珠の喜び様に満足し、満面の笑みで粋珠のコップにお茶を注ぐ。 

暁は、その全員の嬉しそうな顔を見ながらゆっくりと席に付いたが、まだ心配ことがあるような表情をしている。 

そして、犀は成人サイズから手のひらサイズに戻って静かに席に付く。 

その室内に充満する幸せと、嬉しそうな笑顔。それを全員が、今噛み締めていた。 




それもこれも、全部姫の、粋珠の為なんだよ。 

粋珠が笑ってくれるから、俺たちは粋珠の為に全てを捧げる。 

その屈託の無い、花のような笑顔が俺たちの全てだから。 




 




置き手紙。 

400Hit記念、璃緒様に捧げます。 

思ったよりも長くなってしまい、その上出来上がるのが遅くなってしまって大変申し訳無いです。
何故だか“アットホーム”という話しが、どのような感じにすれば良いのか掴めず、試行錯誤を繰り返していました。
BBSで宣言した通り、未だに本編未登場の四神の2人や、粋珠の幼少時代を書いてみました。
何となくで、締めを犀兄さんに(笑)
因みに、暁がこの時心配していたことは“手のひらサイズの朱夏が、ちゃんとお茶を注げるのかどうか”でした。
手のひらサイズですし、刹みたいに力が強いわけでもない。誤ったら隣の粋珠にお茶掛かっちゃいますし。
今回、意外な発見点は朱夏が人遣いが荒いことと、やっぱり暁が心配性だということでした(笑) 

まだまだ未熟ですが、このような物で良ければ受け取ってやって下さい;
キリリク有難うございました! 

2006/01/22 朔那 蓬莱 




見事400hitを踏みました。ありがとうございます蓬莱さん!!
1回読み、また2回読み・・・。アットホーム最高です。
本編では中々お目にかかれないような彼らを見て(読んで)更に愛着を感じました。
手のひらサイズと言う設定に思わず叫びそうになる口を押さえて、幸せな気分で読ませて頂きました。
キリ番ありがとうございました!!