700HIT記念〜璃緒様に捧ぐ〜 明智小五郎之助番外編 ユキと明智が出会った日 「ごめんね。 正幸、あなたを一緒に連れて行くことはできないの」 「父さんと母さんが帰ってくるまで、ちゃんと家で待っているだぞ」 今から六年前。 少年の両親は彼を置いて、去っていった。 「オレ、ずっと待ってるよ。 だから、ちゃんと帰ってきてね」 笑顔で答えたその日から、少年はずっと一人で生きていた。 きっといつの日にか、大好きな二人に再会できると信て……。 「わ〜れは、ツ〜チノ〜コ〜、まぁ〜ぼろすぃのぉ〜♪」 十月某日。 私はいつものように、事務所に出勤した。 そして、またいつものように事務所の戸を開けた。 「・・・・・・」 その瞬間。 私は、我が目を疑った。 事務所の中は、どえらいことになっていたのである。 「おお、ユキちゃん。おはようさん」 ご機嫌そうに鼻歌を歌っていた先生が、私に気づいた。 「先生。 この部屋の有様は、一体どういうことなんですか?」 十月らしく、かぼちゃオバケのランプが置いてあるかと思えば、 クリスマスが待ちきれないのか、部屋の角にクリスマスツリーが飾られていたり、 果ては、そのツリーに短冊が掲げられていたり……。 部屋の中は、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようになっていた。 「何を言うてんのや、ユキちゃん。 まさか今日が何の日か、知らんのとちゃうやろうな?」 私があっけにとられているのを、先生は思議そうに見ている。 今日が一体何の日なのか、私には全く検討がつかない。 私の誕生日ではないのは確かだし、先生の誕生日は二月の二十二日だ(本当なのかどうかは、知らないが)。 「ほんまに、今日はワイらに関わる人間にとって特別な日やのに。 まぁ、お祝いするにはちょっと、遅かったさかいに、思い出せへんのもしゃぁーないか」 先生は、折り紙を輪っかにして繋げた飾りを窓に貼り付けながら、私にメモを渡した。 「ちょっと、駅前のケーキ屋さんまで、お使いに行ってきてくれへんか? そこに行ったら今日が何の日ぃか、わかるやろ」 メモには 〈ダイヤモンド・ゴールド・スペシャル・ケイク・ニューヨーク・ヴァージョン(特別仕様)〉 と書かれている。 確かコレは、駅前のケーキショップが客寄せのために、 置いている全長一メートルの〈お持ち帰り専用〉ウエディングケーキだ。 甘い物好きの私は、よくこのケーキ店に出入りしているのだが、 今まで一度もこのケーキを頼んでいる人を見たことがない。 今日は誰かの結婚式でもあるのだろうか? とにかく、頼まれたからには買ってこなければいけない。 ……私の仕事は確か、先生のボディーガードのはず、今も昔も雑用係のようなことしか、やっていないような気がしてきた。 私は先生からお金を受け取り、早速ケーキ店に向かった。 ガタンゴトン…… ガタンゴトン…… 頭上の道の上を走る電車が、通り過ぎる音。 駅までの近道をしようと、通ったこの場所。 懐かしい振動に、思わず記憶が蘇ってくる。 私の両親は、今から約六年前。 寒い雪の日に、私を置いて闇に中に消えていった。 父さんは、配達の仕事をしていたので、遠いところへいってしばらく帰ってこないことがよくあった。 その日は珍しく、母さんも一緒に行った。 またいつものように、しばらくしたら帰ってくるだろう。 私はそう信じて、一人家に残っていた。 それから、数日後。 私は家に突然やって来た、大人によって〈保護〉された。 何日間かの間は、そこで保護されていたが、 私は父さんと母さんに言われた言葉を、思い出し施設を脱走した。 「家で待っていなきゃ、いけないんだ!」と。 しかし、世間はそんなに甘くはなった。 脱走後家に帰ると、家がいつの間にかなく なっていたのである。 しばらく取り壊されていた家の前で、漠然としていると、またもや私は保護され施設に引き戻された。 それでも、私は脱走しては家の場所に行き、そこで両親の帰りを待った。 雨の降る日もあった。 雪の降る日もあった。 それでも私は、待ち続けた。 そのようなことを繰り返しているうちに、私は家族で暮らした家が、ここだけでないことを思い出した。 幼いころから、幾度となく引越しを繰り返していたのだから、住んでいた家も数知れず。 もしかすると、父さんと母さんはどこか別の家に居るのかもしれない。 「父さん。母さん。 待っていてね。 オレ絶対に、探し出すから……」 そうして私は十三歳の時、施設から遠く離 れた場所へと旅立った。 今でもあの日のことを思うと、胸が痛くなる。 暗い闇に父さんと母さんが、引き込まれていく。 少年の私は、必死になって連れ戻そうともがく。 ただ、大きく伸ばした手は闇の中を泳ぐだけで、二人をつかむことは出来ない。 こんな夢を、先生に会う前何度見ただろうか。 父さんと母さんに会いたい。 今も昔も、私の思いはそれだけだ。 先生に出会ったのは、旅に出てから二年後の十五歳の冬。 電車が真上を通るこの場所で、私は先生に出会ったのである。 「アーニーキー。生きてますかぁ?」 早朝のラッシュアワーの、電車の音にも負 けず私は眠っていた。 毎日のように、父さんと母さんを探しに出かけていた私派はこの場所で、 ダンボールハウスをおったてて捜索の基点としていた。 (もちろん警察には、内緒で) 当時私は、私をアニキと呼んだ、宮元小次郎という少年に世話になりながら生活していた。 ワックスによって四方に、ツンツンに立てた髪と、真っ赤なスカジャンが、彼の不良に対する憧れの強さを表していた。 小次郎とは、街中で柄の悪い連中に絡まれているのを、助けて依頼の中である。 「アーニーキー。 ご飯いらないんすか?」 何度目かの呼びかけで、私はやっと目を覚ました。 「うるせぇ。もう少し寝かせろ」 寝起きは最悪。 そもそも、毎日夜遅くまで近所の住宅街をうろつき、見覚えのある家を一軒一軒調べ歩いている私にとって、朝は辛いものであった。 「アニキ。 今日も何処かへ、行くんでしょう? 今日こそ、オレもつれて行ってくださいよ」 小次郎は、食事の握り飯を差し出してくれながら、せがんでくる。 「嫌だ。 オレはただでさえ警戒されてんのに、社長の息子のお前を連れて歩いてたら、何言われるか分かんねーだろ」 幼くして、両親を捜索する旅を続けている 私には、もちろんお金などなかった。 そこで、どうやって旅の資金を稼いでいたかというと……。 幼いころから父に鍛えられて育った私は、腕っ節にだけは自身があった。 夜の街には、柄の悪い連中がウロウロしている。 まぁ、罰当たりというかなんと言うか。 私は夜の街に繰り出し、絡んできたテキトーな怖い人たちから喧嘩を買い、ボコボコにして金品を奪っていたのだった。 (今考えると恐ろしい) 「だから、オレはそこらの柄の悪い連中にも、恨まれてるし、お前の親父に見つかったら、 オレ殺されるだろ」 小次郎の親父は、日本有数の会社〈宮元ベーカリー〉の持ち主であった。 小次郎の父親は選挙に出て国会議員にもなった、経済界の超大物だ。 そんな大事な息子を柄の悪い私が連れまわしているのを見られたら、誘拐犯にでも間違われて、また施設に逆戻りのはめになる。 いや、それだけでは、すまないかもしれない。 「ねぇ〜。 オレはアニキに憧れてんの! だからさ、オレにもアニキの手伝いさせてくれよ」 いくらせがまれようが、小次郎を連れて歩くわけには行かない。 そう決めた、私の覚悟は固い。 「アニキ……。 どうしてもオレを連れて行ってくれないんすか? だったらオレにも考えがあります」 「へぇ。考えって何だよ」 私は小次郎の考えることなど、たいしたことではないだろうと甘く見ていた。 次の言葉を聴かされるまでは。 「聖マリア児童院。 アニキ知ってますよね?」 ニコリ。 このときの小次郎の顔は、他の何よりも恐ろしかった。 「何で、お前がそこの名前を知ってるんだ」 聖マリア児童院。そこは私が保護されていた場所の名前だった。 「ニヒヒ。 オレは、アニキに憧れているんすよ。 嫌いな親のコネ使ってまで、アニキのこと調べるのは、当たり前のことっしょ」 私は携帯電話をちらつかせる彼に、言い返す言葉もなく、渋々昼間の住宅街を一緒にうろつくことになった。 「ないっすねぇ〜。 アニキの暮らしてたって家」 「そう簡単に、見つかったら苦労しねぇーよ」 住宅街をうろつくこと数時間。 ついに小次郎が飽き始めた。 「厭きたなら、帰れ」 ここ二年(今の私にとっては、六年)。 毎日違う場所で同じことを繰り返している私には、 もうなれたことでも、刺激を欲している小次郎には、退屈なことだったのだろう。 「そもそも、オレはお前が期待してるほど、毎日デンジャラスな、生活を送ってないんだよ」 「ええ〜。 だって、この間オレが絡まれているときに、相手ぼこぼこにして助けてくれたじゃないっすか! ああ……あん時のアニキかっこよかったなぁ」 小次郎は遠い目をして、虚空を見ていた。 その時の私は、小次郎が何故こんなにも強さに憧れを持つのか、分からなかった。 けれども、自分を慕ってくれているという、存在がいることを、心のどこかで喜んでいたのかもしれない。 〈うーさーぎおいし〜かのやま〜♪〉 町の役場が流している、五時の音楽。 「ああ、そろそろ帰らないと。 また親父に叱られる!」 極めて不良を目指しているとは、思えない言葉を言い。 小次郎は、大急ぎで帰っていった。 この町の何処かに、父さんと母さんと過ごした家が残っているはず。 一人になった、私はまた行く当てもなく、住宅街をさ迷ったのであった。 それからいくら探しても、私の家らしきものは見つからなかった。 「今日は……帰ったほうがよさそうだな」 辺りが、どんどん暗くなってきていた。 簡単に見つかるわけがない。 そう思っていても、見つけられなかったときの悲しい気持ちを、引きずってダンボールハウスへと、帰るのは気が重かった。 終電近くの電車の音が、いつも私に一日の終わりを告げていた。 ダンボールハウスに近づくと、何やら怪しい気配がしていた。 「わ〜れは、ツ〜チノ〜コ〜、まぁ〜ぼろしすぃのぉ〜♪」 同時に奇妙な歌声も、聞こえてきた。 今でこそ、この声が誰なのか簡単に想像できるが、この時の私は気が立っていた。 「誰だ!人ん家に勝手に入ってやがるのは!」 私は力に任せてボロボロのハウスの扉を開けた。 そう、コレが明智小五郎之助。 後に私が先生と呼ぶ人物との、出会いだったのである。 私は驚き呆然とした。 オレンジの半纏に、緑の腹巻。赤いマフラーを着たデカイ招き猫。 そいつが、広さ二畳分もないここにちゃっかりと、座っているのである。 どう考えても、私の思考回路で理解できる存在では、なかった。 「よぉ。 あんたここの住人さんやな?」 勝手に上がりこんできた人間とは、思えない言動。 「ああ。 って、何でお前がここにいるんだ! つーか誰だ、てめぇ!」 突然の非常識な出来事に、私の思考回路は混乱していた。 「やかましい兄ちゃんやのぅ」 私の言うことなど、どこ吹く風。 先生はのんきに、醤油せんべいなどかじっていた。 「わいは、迷探偵の明智小五郎之助。 今ちょっと、家賃の取立てに追われとるんや。 せやからしばらくここに、おらせてもらうわ。よろしゅう」 ぺこり。と、頭を下げる先生につられて、私も思わず頭を下げた。 「いや、ちょっと待て! 人の家に勝手に入って、いきなり何言ってんだよ。 探偵だか何だか知らねーけど、不法侵入だろーがよ。 てゆうか、名探偵とか言っててなんで家賃払えねぇーんだよ」 私がいくら言おうが突っ込もうが、先生は聞く耳を持たなかった。 それどころか、勝手に寝袋を出しついには、大きないびきをかきながら、寝てしまった。 「ったく。なんなんだよ!」 冬の寒さは、私が外で眠ることを許してくれるほど、甘くはなかった。 私は狭いダンボールハウスの中、訳の分からない謎の男と、寝ることを余儀なくされた。 翌朝目覚めると、先生の姿はなかった。 借金取りに見つかって、また何処かに逃げたのだろう。 昨日のは悪い夢だったんだ……もう一眠りしよう。 そう、思った矢先だった。 「いっちにーさんし! にに、さんしぃ! カツラ サンシ!」 外から、元気のいい先生の声が聞こえてきた。 「あいつ……。 おい、朝っぱらから、何をやってんだよ!!」 私は目をこすりこすり、起き外のやつに怒鳴った。 「アッ! アニキおはよーっす!」 「こっ、小次郎。 お前まで……」 戸を開けるとそこには、楽しそうに先生と一緒に体操をしている、小次郎の姿。 「よ!ユキちゃん。 おはようさん。 一緒に朝の体操どうや!」 「お前等……。 ドンだけ元気有り余ってんだよ」 道行く人の冷たい視線の中、私は怒鳴る気力すら失っていた。 「そうか、ユキちゃんは、お父はんとお母はんを捜しとるんやな。 さがし人なら、プロのワイにまかしとき!」 そういう先生を引き連れ、私と小次郎はまた、近所の住宅街へと来ていた。 しかし、自称プロといっても訳の分からない赤の他人に、自分のことをペラペラとしゃべる私ではない。 私はろくな情報も与えないまま、先生が飽きるのを待っていた。 途中で五時になり、小次郎と別れると、私と先生との会話は、ほとんどなくなった。 いや、先生は一方的に、話しまくってはいたのだが。 「でなぁ、ワイが探偵になった理由はなぁ〜」 一方的に喋り捲る先生に、私がうんざりして来たころだった。 「おい、聞いたか。 宮元ベーカリーの社長の息子が、誘拐されたらしいぞ!」 「まじかよ。 つか、何でお前知ってるわけ?」 「さっき、お回りがしゃべってんの聞いたんだよ!身代金一億円だってさ!」 「すげー!」 こんな会話を聞いたのは。 「……宮元ベーカリーって、 まさか小次郎!!」 「おいっ。あのボウズってまさか、」 驚く先生に、私はほとんど考えずに答えた。 「ああ、宮元ベーカリーの御曹司だよ!」 「はぁ、はぁ……」 小次郎の豪邸の前につくと、もうすでに、山の報道陣で埋まっていた。 「宮元さん。 誘拐された息子さんに、何か一言!」 「犯人からの、連絡は!」 「身代金が一億って本当ですか!」 「主犯格とされる巌流党の党首と、何かトラブルでもあったんですか!」 様々な情報が飛び交っていた。 誰もが混乱し、貴重な情報は騒ぎ立てる記の声によってかき消された。 「おい、明智。 お前プロなら、小次郎を探せよ!」 一緒に走ってきたはずの先生は、私の隣には居なかった。 「くそっ。 どいつもこいつも、オレを置いていきやがって」 小次郎の顔が、頭に浮かんできた。 大金持ちの息子で、不良に憧れ、そのくせ妙にまじめで……。 私の脳裏では、今日の事件があの日の出来事と重なった。 あの日から、消えてしまった両親。 いまだに、見つけ出すことができない。 だからこそ、小次郎が誘拐されたということが、 また、自分の前から人が消えていっってしまった。 というカナシミの感情を、あふれさせたのだろう。 私は、自分が無力で仕方がなかった。 「おい! ユキちゃん。天明治港第三倉庫や。 そこに、ボウズはおる!」 人ごみの中から聞こえる、先生の声。 それを聞くか聞かないかのタイミングで、私は走り出した。 目指したのは、もちろん天明治港第三倉庫。 今思えば、何故私が先生の声を信じて走り出したのか、分からない。 「小次郎。 待ってろよ!」 私には、他の大人を呼ぶなどという考えはなかった。 ただひたすらに、目の前の人が消えてくという現実が悲しかったのである。 「おいっ、小次郎。 いるのか!返事をしろ!」 薄暗い倉庫の中、自分の足元すら見えにくい。 「アニキー」 小次郎の力のない声。 声のした方向を、目を凝らしてみるが何かがちらりと動いたようにしか見えなかった。 「身代金一億円持ってきたんだろうな」 小次郎の影の前に、また別の影が立ちふさがった。 「お前が、小次郎を連れてったのか!」 頭に血の上っている、私にはやつの言葉など聞こえていない。 姿を見るなり思いっきり、殴りかかった。 「やれやれ、絶対にこういうのが来ると思っていたんだ」 ドドド! 「……ぐぁああああああ!!」 「アニキーーーー!!!!」 何かを切った感覚が、足にあったかと思うと、私の体に数本の矢が刺さった。 「ぐぐっ、何……しやがんだ!」 私は、恐ろしい痛みによって指一本こともできなくなっていた。 「ハハハ。 貴様みたいな馬鹿なやつが、入って来れないように、トラップを仕掛けておいたんだよ。 まんまと引っかかってくれたね!」 高らかと笑う犯人。 後に知ったのだが、この犯人は巌流党という党からの立候補者で、 前選挙で小次郎の父に負けたことでの仕返しで小次郎を誘拐したそうだ。 私は、また目の前でいなくなる人を止めることができなかったのか。 周囲には、ぼたぼたと流れてゆく赤い血。 意識が朦朧としてきていた。 「アニキ!アニキ!」 小次郎の呼び声も、だんだん薄れていく。 「くそっ。 この縄解きやがれ! アニキー!」 倉庫が、薄っすらと明るくなった。 「ユキちゃん。またせたな」 聞きなれた声。 そう、この場面で一番おいしいところを、 もっていく人物。 「迷探偵明智小五郎之助の登場やで!」 倉庫に響く、先生の声。 犯人が訳のわからない人物の登場に、少し驚くも黙ってはいなかった。 「ふ。いまさら出てきたって意味はない。 それとも、あんたが一億円持ってきたというのか?」 「にょほほ。 ああ、もってきたでここにたんまりあるで」 先生は、懐から札束を取り出すとひと束、 犯人に向かって投げつけた。 「まさか、コレだけではないだろうな」 「ああ残りは、小次郎を帰してもうてからや」 「そんなに甘っちょろい考えでここに、乗り込んで来たのか、ご苦労だな。 さぁ、こんなやつどうなったていい! 持ってる金全部奪いとるんだ!!」 犯人が、大きく右手を上げた。 「うぉーー!」 どこからともなく、現れる犯人の部下たち。 「やれやれ、これやから悪いことするやつに、ろくなんはおらんのや」 先生が、大きく叫んだ! 「今や!」 ババット! どこからともなく、黒服の部隊が倉庫の中に入り込んできた。 彼らは次々と、犯人一味を捕らえてゆく。 「おい、明智。 こいつ等は、一体誰なんだ」 「ユキちゃん、出血がひどいんや。 無理したらあかん。 あの人等は、警察の特殊部隊や。 誘拐くらいで出すのはアカン言うて、いわれたんやけど、ちょっと警察に知り合いがおってな、来てもうたんや」 こんなすごいのを簡単に呼べる、こいつっ て、一体何者なんだ。 私はここで、初めて先生のすごさを実感した。 「おい、お前本当は何者なんだよ」 息も絶え絶えに聞いた私に、先生は笑って 答えた。 「ワイは何者でもない、ただの迷探偵明智小五郎之助や!」 その後、捕まっていた小次郎は無事に救出され事件は幕を下ろした。 先生はこの事件の功労者として、収入を得ることができ無事、家賃を払うことができた。 そして、私は病院に搬送され、後は知ってのとおり、先生の元で働いている。 私を雇った理由を先生は、 「一晩泊めてくれたお礼や!」 と言っている。 鶴の恩返しならぬ、招き猫の大恩返し。 私は本当に感謝している。 そうこう先生との出会いを思い出しているうちに、駅前のケーキ店についてしまった。 いつものように、甘いいい香りが漂ってい る。 カランコロン…… カントリー調の木製のドアを開けると、ショーウィンドウに並ぶ鮮やかなケーキと、 店員のうれしそうな笑顔が私を迎えてくれた。 「アニキー! 待ってましたよ」 小次郎は、あの事件のあと父の会社のあとを継ぐために、パティシエの勉強を始めた。 目指すは世界一らしい。 少し大きめのコックさん帽子から、あの頃と変わらない、ツンツンヘアが飛び出している。 「小次郎。 先生の頼んでた、ケーキできてるか?」 私がメモを見せると小次郎は、店の奥から大きな箱を抱えて持ってきた。 「はい、これだよ! 中見てみる?」 大きなケーキを箱から出すと、それにメッセージが書いてあるのが分かった。 そして、先生が言っていた特別な日が何だったのか。 全てが分かることができた。 「ありがとう小次郎。 また何か食べに来るよ!」 私は、長さ一メートルの大きなケーキを抱きかかえ、事務所に帰った。 「おう、ユキちゃん。 おかえり。 今日が何の日か分かったか?」 「ええ。分かりました」 私は先生に笑顔で答えた。 「ほな、これから何を言わなあかんか分かるな?」 「はい」 「じゃあ。 せーの!!」 「「璃緒ちゃん。 700hitおめでとう!!」」 今日は、猫田のサイト700hit記念日。 私たちに関わる人、皆の特別な日。
素敵なリク小説をありがとう猫田ちゃんっ!! 前々からユキちゃん明智は好きでしたが、このお話しで更に2人を好きになりました。 明智の関西弁には惚れ惚れとします。うちのキャラにもあれくらいのテンポで喋って欲しいです。 と言うことは私に全ての責任があるわけなのですっ!(脱力) もっともっと方言を勉強します。