居場所が分からなかった。 時折孤独を感じた。 気が付けば空を見上げて、誰も見ぬところで涙を流す。 「私の居場所は、どこ」 少女は後ろにいる彼に尋ねるわけでもなく、ポツリと独り言を零した。 少女は手のひらを見つめ、そして今にも降りそうな空を見上げた。 「何で、生まれてきたのかな」 いつもよりずっと細く頼りない背中に、彼は手を伸ばそうとした。 だけど、届かない。 手は虚空を掻き、行き場の失った手を彼は悔しそうに見つめた。 空を見上げることを止めた少女は、そのまま俯いた。 見かねた彼は、彼女の名を呼びこちらを振り向かせようとした。 ………ポツ 雨が彼の言葉を遮った。 彼は空を見上げ、降り出した雨粒を恨めしげに睨み付ける。 「雨」 今にも消えそうなほど、まるで衰弱した者の声のように少女は呟いた。 軽く空を見上げ、少女は静かに振り返り、そして笑う。 雨は、降り続ける。 冷たく、けれど熱いものが、少女の眦から零れ落ちていた。 彼は一歩近づき、また一歩と歩み寄る。 少女は相変わらず薄く、貼り付けた笑みを浮かべていた。 「辛い、よ」 笑みは段々崩れ、変わりに、溢れんばかりに雫が落ちた。 彼は一瞬驚いた表情を見せた。 少女の頬に手を当て、泣きそうにくしゃりと顔を歪めたが、 ゆっくり少女の肩を抱き、引き寄せた 「ここが」 「お前の、居場所だ」 彼の腕の中で、また一つ涙が零れた。 たとえ世界が 拒んでも 与えられた腕の中は ただ、冷たいだけだったけれど
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